大学生活の振り返り  ー4年間で学んだことー

大学4年間の振り返り

 

大学生活で何を得たか、考えてみた。すぐには思いつかなかったが、専門知識は増えた、一人暮らしで、一般的な生活スキルが(多分)身についた、お酒の楽しみと怖さの両方が分かった、などが出てきた。しかし、この4年で本当に成長できたことというのは、そういうところではない気がした。大学に入学する前のことを思い出し、比べてみると、「ここら辺が」と正確に言葉にすることができないが、確かに今の自分はあの頃とは違う、という実感はあった。あえて言葉にするならば、自分の道は自分で決める、ということだ。

まだ右も左も分からない入学したての頃、大教室でのオリエンテーションで、学部長はこう言った。「みなさん、大学生活中に、本を読みなさい。恋をしなさい。旅をしなさい。それは今しかできないことだから」 てっきり、大学に入っても緩むことなく勉強をしなさい、と言われるものかと思っていた僕は、驚いたことを覚えている。でも、その言葉を聞いて気持ちが楽になったかと言われると、そうではなく、むしろ逆だった。不安と期待が入り交じった少しピリッとする感情に襲われた。なぜなら「本を読む、恋をする、旅をする」のはどれも、やらなくても誰からも強制されることはないもので、自分が動かなければできないことだからだ。つまりこの言葉は、「大学生のうちに何をするかは、自分で決めなさい」と同義だと感じたのだ。

高校は、成績を少しでも伸ばすことに重点を置かれ、第一志望合格という全員が目指すべき明確なゴールがあった。勉強は大変だったが、しかし目指すべきゴールはしっかりと定められていたので、あれこれと考えて、迷うことはあまりなかった。考えないようにしていた、というのが正確かも知れない。

受験が終わったとき、自由という素晴らしい切符を手に入れることができたが、それと同時に、今まで明確だったゴールを失うことになった。「大学生のうちに何をしたらいいんだろう」「やっぱり大学でも勉強することが一番じゃないか…」 新しい指針をまだ持つことができておらず、その指針を誰からか提示されることを求めていた自分に、学部長の言葉は深く刺さった。自分の道は、自分で決めなければいけないのだ、と。

この大学生という期間に自分は何をするのか―。勉強するのも自由、夢中になれることをするのも自由、ダラダラするのも自由…、そんな正解のない問題を自分なりに考えて、試行錯誤しながら送ってきた。確かに、定められた目標があって、それを達成するために努力するのは大変なことだ。でもそれよりも、人生という無限に選択肢がある中で、自分なりに考えて、目標を定めるということの方が大変だと思った。少なくとも大学に入るまで、そんな訓練はしてこなかったのだから。大学で初めて体験した「正解のない問題に対して、結論を出す」という力。これが、大学4年間で最も身につけられて良かったことだ。社会に出れば、たくさんの大変なことが待ち構えているだろう。でも、この力があれば、そんな荒波にも立ち向かっていけるはず、そうであって欲しいと思っている。